2017年の音楽 - [naku-yoru] :: DIARY
October 20, 2007

2017年の音楽

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本日、予約していた「NME/10月13日号」を購入。
毛穴までくっきりはっきりのトムくんの恐ろしい表情がレイアウトされた表紙写真を手にして、いろいろな意味で戦きつつ、さてページを捲る。4ページもの特集を組んだNME。
表題は「Welcome To The Revolution」。ダウンロード版の10曲のレビューに、希望額購入制についてのコメント等々。

2ちゃんねるでは、歌詞の独自翻訳でなかなか盛り上がっているようみたいですね。
Radioheadのスレッドは平和なところと大荒れなところと、かなりの落差があるので、己はよう行かんのですが。個人ブログなどでも、さっそく歌詞の翻訳をしているブロガーたちがいて、皆が皆、面白い解釈や自由な意見を述べていて、なかなか興味深い。

「音楽は、歌詞は音の価値を超えない」ものだと信じて疑わなかった己ですが、その意味はというと、英語を母国語としない我々日本人が、英語の歌詞の意味を読み、解釈し、作詞者の意図や思いをどこまで汲み取れるのか、汲み取る事が可能なのか。できないのなら、やって意味があるのか。
そんなふうに、昔はやたら賢ぶって、あまのじゃくになってた己でした。

が、Rの6thアルバム「HTTT」が出たあたりから、「ちゅーか、訳して解釈しないと、トムが何を言ってるのか解らないじゃないか」という極々当たり前な結論にたどり着き、遅まきながら、音楽に対する姿勢が素直になったようです。
音楽雑誌を隅から隅まで真面目に読まなくなったのは、その反動か、否か・・・。

話を戻す。 「Welcome To The Revolution」。「ようこそ、革命へ」。
いくつかのブログを訪れて「In Rainbows」についての意見や批評を読んでいたら、「別に新しくない」といったようなコメントをしていたブロガーがいて、彼(か彼女)の意見に反論するわけではないのだけれど、ここに来て、まだRadioheadの音楽性の評価に「新しさ」がついてまわるのか、と驚き半分、呆れ半分。

新しい、というとき、無論「前回に比べて」という意味が多いと思う。
しかし、これがもし「現在の音楽シーンのなかで」の話だというのなら、己は大いに疑問に思う。芸術について相対的な点数づけをする行為こそ、何ともつまらない話ではなかろうか。
己自身は「In Rainbows」の音響については、時間をかけただけ(って別に皮肉を言ってるんじゃないんで…)工夫もかなり凝らされていると思うし、各パートの演奏も、アレンジも丁寧に作り込んだ印象。メロディの美しさには、いつものことながら感動しっぱなし。
2006年のライヴバージョンを事前に聴いていて、それと比べると確かに「新鮮」ではあったけれど、しかし、「革新さ」はさほど感じられなかった。

最近ふと思うのは、己は今年26歳になるわけだけれど、きっと10年後も音楽は好きで、いろいろ探して聴いていると思う。
だが、10年後の2017年、一体どんな音楽が存在するというのだろう。根拠のない不安が時々沸き起こる。 音楽の歴史にも、技術的にも何ら詳しくないし、別に何かバンドやら音楽活動をやってるわけではないから、裏付けも何もないのだけど、何となく、音楽はもう際の際まで、行くとこまで行っちゃった気がしてならない。・・・素人の浅はかさでしょうか?

迷惑行為を注意したらナイフで刺される今日、まったく話にならない政治家と役所に生活をがっちり固められている今日、危機的な世界情勢がガソリン代や電気代やパンの値段の値上がりというかたちでリアルになってきた今日。2017年なんて、下手したら音楽なんてやってられない世界になってるんじゃないのか。 って馬鹿馬鹿しい誇大妄想。

2007年もあと2ヶ月少しという今日、葛根湯の効能もほぼ消えかけ、そういう何ら脈絡も意義もないことを、微熱の脳みそを抱えた22時の高速バスの中で考えていました。

闇夜のなか、キンモクセイの香りだけが、冷たい空気に乗ってきたなぁ。
かの菅公も歌ったように、花の香りというものは季節をもっとも感じさせます。
ちなみに当サイトの「naku-yoru」の語源も和歌から取っています。視覚、聴覚、嗅覚に訴える、とても美しい歌。

「橘のにほへる香かも霍公鳥鳴く夜の雨にうつろひぬらむ」(大伴家持)
夏の盛り、庭の橘が実に芳しい。
ほととぎすの一声わたる夜。
降りしきる雨に、
彼の地の橘は、香りが失せてしまっているだろうなぁ。

和歌というものは、己は「音楽」だと解釈して良いと思う。四大要素はきちんと入ってますから。
メロディは、一音一音の響き。リズムは5・7・5・7・7調。ハーモニーは語句から浮かぶイメージ。音色は読み手の声。
1000年以上に前に生まれ、既に音楽の四大要素が含まれた和歌が現代の音楽にもしっかり通じていると考えると、10年ぽっちがどんなもんだというのか。

深秋はすぐそこ。茄子とか栗がやたらに美味しい。早く風邪を治さねば。

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